朝起きたら、アイツの姿は隣になかった。
服だけが落ちてるワケでもねェ、それなのに消えていなくなった。
屯所中捜しても、どこにもいなかった。
現れた時もウソみてェな感じだったし、どうせ夢か何かだったんだろ。
「トシぃ、あの子どうした?」
「ん?あ、あぁ…」
「いなくなった」
大事に至らなくて良かった。
怪奇現象かと思った。
いろいろ隊中の奴に励ましてもらったけどな。
何だ?
この寂しさ。
「トシ、今日は早く上がってろ…」
「え?」
「やっぱり体調悪いだろ、元気ねェぞ」
「ぁ…悪ィ…」
「いやいや、いいんだよ…ほら、晩飯までいいから」
近藤さんに押されて、俺は部屋で一人。
顔に出てたんだろうな。
何だかんだ言って、アイツがいて面白い部分もあったのかな。
同じ声、同じツラ…
気持ち悪ィはずなのにな。
「美少女侍トモエ5000!見参っ!!」
重たい瞳を上げると、テレビに映るアイツが好きなキャラクター。
途端に沸き起こる「気」の波。
眩暈のような感覚。
以前は負けねェように必死だった、アイツとの攻防。
いっそ現れてくれと、身を任せてる俺がいた。
「ぁ…あっ…!!!!!」
意識が飛びそうになって、思わず畳に膝をつく。
「土方氏ィ…」
そこには…
憎たらしい…
「コツを掴んだナリv」
俺が絶対しねェような、笑顔。
「アホか…」