自我を持ってしまったクローンは、処分の対象にされる。
失敗作だと命を狙われるそいつの怒りは、やがて自分のオリジナルに向けられた。
お前がいなければ、俺は殺されずにすむ。
同じ人間が2人存在すること自体がおかしいなら、片方消してやるだけだ。
何も俺が消えることはねェ。
お前が消えても解決する。
「だから、意味わからねェコトいうな!!」
さっきからコイツ、現実離れしたことばっか言いやがって。
何なんだよ、クローンとか。
怖ェ…
「とぼけんな…お前が俺の存在を掻き消すんならなァ…」
「?」
「俺はお前のプライドを掻き消してやる」
コイツ、なんか人格変わってねェ?!!!
「こんなにして…本当はその気なんだろ」
「…ん、ァ…っ」
どれだけ強がって見せても、トッシーの手の中で俺のチンポはガチガチに勃って濡れていく。
コイツの指が動く度に突き上げる、ドロリと生ぬるい感覚。
「あァ…っ…」
ふと気付くと、俺ァすっかりその気になっちまってた。
独特の上擦った声が、口角から滑り落ちる。
もう、止める気にもなってねェ。
俺をグダグダにさせるトッシーの腕を強く掴んでみても、それってどういう意味?
「ゃ…め…」
やめてほしい?
本当か?
本当にやめて欲しいのか?
やめていいのか?
もっともっと…
「扱いて濡らして勃たせて、イカせて欲しいんじゃないの?」
?!!
「んなワケあるか!アホ!!」
「今、自分の気持ちとシンクロしたでしょ」
「?」
もとの人格に戻ってガキみてェに笑うトッシーだが、その瞳が笑ってねェ。
そりゃ、獲物が圏内に踏み込む瞬間を狙うケダモノ。
ふっとその表情が凍りつきそうで、怖くて目も合わせられねェよ。
「クローンプレイは、思ったほど萌えないナリ…」
は?
何言ってんだコイツ…
燃え…萌え?
何だよ、クローンプレイって。
初耳だよ。
さっき、口調変えてたのって、そういうことだったのか?
もう、俺ァついて行けねェ…
「土方氏は、土方氏として抱いてあげるのが一番ナリv」
???
「ぅわ、ちょ…どこ触ってんだ!!」
俺の思考が整頓される前に、下半身にとんでもねェ衝撃が走った。
「いきなり入れたら痛いナリよ?土方氏、男の子だから」
俺が零した精液絡めて、ケツに指突っ込んできやがった。
ヤベェ…俺、掘られる…
どうしよう…
マジ、遠慮したいんですけど。
「いい歳した野郎に、男の子って言うな!」
「へへ、照れないでいいナリv」
「…照れてません」
気持ち悪ィけど…
何かちょっとくすぐったいかも。
「…ん、ふ…ぅ…」
内臓が収縮するような、ゆるい電流流されたような。
微妙に熱くなるトコ。
具体的に言えねェが、これって気持ちいいって言うんだろうか。
俺の中をぐりぐり抉るトッシーの指がたまに掠める、ある部分。
「ココ、気持ちイイナリか?」
「ん…わかんねェ」
「もっと弄ってあげたらわかるかな?」
「ぁ、ちょ…」
わ、何だコレ。
あー
ヤベヤベヤベ…
よくわかんねェけど、イキそうだわ。
初めて経験する、間接的な射精感。
でもコレ、実はスッゲェ気持ちイイかも。
「ほらね、気持ちいいでしょ」
「?」
見れば、犬の腹見せ状態。
俺は大股開いて、全身預けきってる。
何てこった。
でも、もう食ってかかる気力がねェ。
いっそ、認めてしまえば楽か?
いやでもそんな…
こりゃ、男の沽券に関わるぞ。
「ぁ…?」
トッシーの指が抜けた途端、何だよこの残念そうな声!
しっかりしろ!
「男の子だから我慢できるナリね?」
「は?」
「優しくするナリよ」
その通り、優しく回される腕。
気持ち悪ィような…ちょっと嬉しいような。
べったり俺を抱き込み、思わず俺も抱き返した。
今から何をするかなんて、野暮なことは聞かねェ。
俺でも、ココまでくりゃ想像がつく。
野郎同士のセックスってのも、どこで知ったか忘れたが、どこをどうするかぐらいは知ってる。
俺ァ、どう考えても女側だな。
「そりゃ、どうも…」
熱いぐらいのコイツの体温が、俺を解放させた。
「ぃででででで!!!!やっぱムリだって!!!」
「土方氏、深呼吸するナリ」
「・・・・・・・・・」
「口開けてるだけじゃダメナリよー!ちゃんと息吸って…吐いて…」
「ァ…っ…」
やっぱり男の体はどうやっても、男のまま。
そりゃそうだ。
下から体真っ二つにされそうな痛み。
喉に栓さされたような圧迫感。
世の中にこんな苦痛があるなんて。
「ぁ、んんっ?!」
「お、こうするといいナリね」
「あァアァァああああ!!?」
不意打ちでカリ握り込まれて、萎えかけた性欲がまた露わになった。
俺の身体が緩んだ一瞬を、トッシーは見逃さねェ。
もしかしたら、その一瞬の隙ができるのをわかってやったのかも知れねェな。
一気に奥まで突き込んできやがった。
「ぁ…あ、あぁァぁ、っ…」
もう、何が何だかわからねェ。
今、俺の身体がどうなってるのかもよくわからねェ。
でも、麻痺はしてねェ。
気持ち悪ィとか、痛いとか、衝撃だけが頭の中を掻き回す。
せいぜい10~20センチだろ?
ケツにたったそれだけのモン入れられただけで、こんなに全身ガタガタになっちまうのか。
「土方氏…痛いナリか?」
「ん…」
「拙者、凄く気持ちいいナリ…」
「そうか…」
トッシーが寂しそうなツラするもんだから、なんか申し訳なくてな。
俺は何とか、さっきのポイントを探り当てようと、腰を動かした。
何だって俺が、こんな気ィ遣わなきゃならねェんだよ…
「あ…っ」
息を飲んだ。
ほんの一瞬。
トッシーと俺の腰がお互いに強くぶつかった。
今、確実に当たったな。
今までの苦痛を一瞬にして吹っ飛ばす快感。
「ココ…」
それだけ言うのがやっとだった。
痛みやら快感やらで、余裕なんかとっくにねェ。
ただ腰を揺らして、感じるポイントなんだと伝えた。
「ん…」
その意を汲んだのか、トッシーが柔らかく笑う。
あぁ…
こういうトコ重要なんだな。
男がいかに単純で野暮な生き物か。
ガキ作らねェセックスなんてのを、なんでわざわざすんのか。
知らねェまま死ぬトコだった。
耳鳴りがするような、激しい律動。
全く同じだけの力を持った身体同士が、お互いを潰しにかかる。
きっと、そう差はねェ。
コイツの方がよっぽど弱々しい声してんじゃんよ。
男っぽさのかけらもねェ。
幼稚な雰囲気のクセに、下半身ガッツリ力強ェ。
「ぁ…あ、っ、イっちゃう…」
俺と同じ声してるはずなんだが、何だか可愛い。
切なく歪む目元が、余計な感情を起こさせる。
絶対的な快感に震える身体。
耳元にかかる吐息は荒い。
「ぉ…れも、だ…」
やたらと濡れた音が耳につく。
恥ずかしいような、それさえ俺を高めるような。
アイツの腰と同じリズムで響く。
もう、激しすぎて速すぎて、目がチカチカする…
「あ、ァ…!!イク…!!!!」
「ちょ、待て…っ」
一気に抜こうとしたトッシーの腰を押さえ込む。
今抜かれたら、俺が辛ェんだよ。
「ぃや…っ、中に…」
涙目で俺を制するトッシーだが、離す気なんざねェ。
出せばいいだろ。
腹壊してちょっと後悔するかも知れねェけどよ。
どうせなら、最後までキッチリ繋がってようぜ?
俺を置いてくなよな。
「ココに出せよ」
トッシーのケツ引っ掴んで締めつけてやれば、目を閉じて息を詰まらせた。
「土方氏…っっっ!!!!!」
あ…ァあ…っ…
あぁァああああァぁあぁ…ッ、ァああアアあァああ…!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アイツが…
中で弾けるのがわかった。
全身の力が抜けた。