他人の体の一部をちょっと体内に入れるだけ。
たかだか五寸ほど。

たったそれだけのことだ。

 

 


「猿飛・・・・・・・」


「ちょ、旦那、本気?!ねェ、だ、あ!ァああぁアアああっ!!!」

 

 


痛みや快感を伴うから妙な感情が生まれてくるんだ。
何も考えなきゃいい。

これに性行為って特別な名前があるからいけねェんだ。
猿飛に右手の代わり貸してやったと思えば、どうってことねェ。

 

 

 


「――――――ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 


うわァ…

痛ェけど、なんかスッゲェ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


俺は猿飛に跨ったまま、その凶器を我が身に突き刺した。

下から肉を割り開かれる感覚。
猿飛の口から漏れる嬌声。
思わず締め付ける俺ン中。

 

「旦那っ、ゃ、やめてって!あ、あっ!!」
「俺だと思うなって言ってんだろ」
「ぁ、ちょっと、動…ッ!」

まだちょっと痛かったが、猿飛に余裕を与えねェために、俺は腰を振り始めた。
右手で猿飛の腰を掴み、逃げねェように固定して、がむしゃらに動いた。
それまで畳を引っ掻いていた猿飛の指が、空を掴むように差し伸べられたり、俺の方に伸ばされたりした。
だいぶ余裕ねェみてェだな…

それに対して、俺はあからさまな快感を受けない分、多少モノを考える余裕がある。
極力痛みを避けるために思考持っていかれるが、性欲に蹂躙されることはなさそうだ。

 

「ん…」

 

ただ…

実は、さっきから微妙に感じるポイントがあるんだよな。

 

 

 

腹ン中チンポで擦られても、気持ちいいとも何とも思わねェが、そのポイントに来ると何だかなァ…
気持ちいいっていうか、疼くっていうか、何とも曖昧。
でも、チンポ刺激されるような直接的な快感でもねェ。

たまにわざとソコに猿飛のチンポを押し当てて、その微妙な感覚を味わった。
でも、あんまりソコばっかり当ててるとヤバそうだな。
イキそう。
男でも突っ込まれてイケるって、ココの事かも知れねェ。


俺の余裕がなくなっちゃ元も子もねェんで、ココはホドホドにしとかなきゃならねェんだが。

 


「ァ…ん、ん…」

 

 

 

 

どうしよう…

 

「あ、ァ…っ」

 

 

 

 


やめらんねェよ…


ココ、気持ちいい。

 

 

 

 

 

 

 

猿飛の目を塞ぐことも声を噛むことも忘れて、ただ、その気持ちいいところに当たるように腰を揺らす。
緩く動く猿飛の腰に合わせてケツを振れば、イイところに強くカリがくる。

解けた下帯からは、完全に天向いた俺のチンポがトロトロになってはみ出てた。


「だ、旦那ァ、っ」

「Ha…滅多な格好だな、猿飛…」
「んんッ!あ!」
「優秀な忍が、ッ…聞いて呆れるぜ」
「くっそ…黙って、聞いてりゃ…」
「ホラ、無様にイっちまえよ…俺ン中でなァ?」

歯茎を剥いて奥歯を噛み締める猿飛。

こんなことしてても結局は俺とコイツ。
気に入らねェってのが根底にある者同士、甘い雰囲気になんざなれるはずもねェ。

 

それでも中の猿飛が確実にデカくなってやがる。

コイツ、演技じゃねェのか?

 

 

 

猿飛の内腿が震え出し、腰を掴まれた。

「ァ、Wei…ッ!待、っ!!」

 


ヤベェと思った時にはもう遅かった。

 

 


「アンタも1回出したら?」

 

 

その深い突き上げに、火花が散った。


「ぁ、ア!!あぁぁッ!!!」

前のめりになってた上体を後ろ手ついて派手に反らし、惜しげもなく脚を開く。
思わずケツに力が入り、猿飛のチンポを締め上げた。
その太さを肉癖で感じて、無性にエロい気分になっちまった。

好き勝手に動かしてくる猿飛の腰に合わせて自分の体を定める。
張り出したカリが俺のイイところを大きく突き上げるんだ。

思わず目を細めちまう。

 

「旦那…凄い、締まってきたんだけど…」
「し、知るか…っ」


今までのイク感覚とは全然違ェ。
あまりの衝撃に、チンポ扱くのも忘れてた。

 

あァ、もう…ダメ…

 

「ぁ、あ!!さ、…と ――――――――――――――!!」

「旦那、出すよ…ッ」

 

 

 

 

 


中で受け止めた猿飛は、わかるはずもねェのに熱いような気がした。

 

 

精液身体ン中に出されるのがこんなにゾクゾクすることだなんて知らなかったな。
俺も大概アブノーマルなのか?

そして、勢いよく腹を濡らすと思った俺の精液は…
ドロリと垂れ流されただけだった。


あんな、死ぬほどの快感だったのに?
なんで飛ばねェんだ?


「あーぁ、旦那トコロテンしちゃったね」
「?」
「旦那…こういうの結構やってるんだ」


は?

「いや、旦那なら立場上経験あるだろうけど、まさか女側だったとは」

何言ってんだ?

「どおりで巧いと思ったよ…それなら俺様もそのつもりでさせてもらうから」

 

猿飛は、抜かずにそのまま俺を仰向けに倒し、呆気にとられる俺に構わず…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ、あ?!あ…ッ、あぁああァああアあ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 


目も眩むほどの激しいピストン。

 

イったばかりの体に間髪入れずのガン攻め。
もう、息もできねェ。

両足を大きく開かされ、その中心をめちゃくちゃに掻き回された。


腰を少し持ち上げられて、猿飛のチンポが俺のケツに入ってるのが見える。
あんなブッテェのが、あんな速さで抜き差しされて…

もの凄く濡れた音を立てて、俺の穴は猿飛を咥えてた。

 

 

 

「アぁァああ…っ!!!!」

んで、やっぱり当たった、例のイイところ。
猿飛が嫌な笑顔を作る。

「ココ、か」
「さ、ッ、やめ…!!!」

そこだけは勘弁してくれ。
気持ちいいのは確かなんだけどな。
何が何だかわからなくなって、狂っちまいそうなんだ。

チンポ刺激されてイク方がまだマシだ…

 


なんて頼んでやめてくれる猿飛じゃねェよな。

 

 

 

 

 


「ァ、ひッ!!猿、ッ、あ、ア!!ゃ、あ、ん、ア!!」

ヤベェ、これ強制的にイカされる。

「やめ、ッ、ソコ…何、ァ、や、イク…猿飛っ!!!」
「イイよ?」

もう、成す術なんかねェ。
快感に引きずられてるみてェだ。

「今度はちょっと飛ばしてみよっか」
「ェ、あ…あっ!!!」

腹側の浅いところをゴリゴリ突き上げられて、またさっきみてェなイキ方しそうだったのが一変。
奥の方を強く、そりゃもう腹突き破られそうなぐらい激しく強く突き上げられて、ものすごい衝撃だった。
でも痛みはまったくねェ。
気持ちよくて恐ろしいぐらい。

猿飛ってセックス巧いんだな。

 

「俺様の肉棒、そんなに気持ちいいの?」
「はっ、ァ…イイ、すっげ、ェ」
「可愛い顔…」


そうだ、俺としたことが快感に振り回されて失念しちまってた。
こんな体位じゃ、俺の姿が丸見えじゃねェか。
猿飛が萎えちまう…
畜生、俺にも変化できる能力があれば!!

「なァ、さ、る…飛…」
「ん、何?」
「変化の術、って…俺にっ、も、かけれンのか?」
「ェ?」


意外な俺の問いかけに、猿飛の腰が止まる。

「何、急に…かけれるけど?」
「俺を、女の姿にしてくれ」
「はァ?!」
「ツラだけでもいい…上杉の忍みてェな、アンタ好みの女に」

途端に猿飛の表情が険しくなる。
やっぱりあの女は不可侵領域だったか?
でもアンタには少しでもイイ気分で事を終わらせてもらいてェし。

「やーだ」

「Ah?」

「旦那でもそんなこと気にするんだ」
「な、っ…」
「俺様これでも結構興奮してるんだけどなァ」
「わ、かりにくいんっ、だょ」

馬鹿にしてんのかよ。
ここまできて、とことん腹立つ奴だな。

「わかった、じゃあちゃんと言う」
「?」
「俺様がどんなに感じてるか、聞かせてあげようか」

そんなこと一言も言ってねェだろうが、話のわからねェ奴だな。

「旦那も女になってよね」
「ふっざけんな!!」

精液脳ミソにまで回ったか、この猿野郎。
俺一人でどうやって女になれってんだ。

「女って言っても、女々しいのは嫌だよ?」
「なっ、んだよ…それ」

止まっていた猿飛の腰がユルユルと動き出す。
弱い快感を楽しむかのような緩慢な動き。
腹の中を肉棒で舐め回されているかのような。

「俺様の雄の部分を刺激して欲しいんだよ」

アンタの雄の部分なんか知ったこっちゃねェんだよ。
だからさっさと女の姿にしてくれって言ってんのに。

「まァ…もう充分あてられてるけど、ねっ」

「ぁ、あッ!!!」


そしてまた、猿飛の激しい突き込みが始まった。

俺の胴の両脇に手を付き、下から上に擦り上げるような律動。
嫌になるような性的な動きに、俺の肉壁はただ喜悦に蠢くだけだった。


あァ…

気持ちィ…

 

 

 


「旦那…」

「ん、なっ…に…」
「ホントに、俺様のこと助けてくれるの?」
「しつけ…ェ、ッ」

この期に及んでビックリするほど馬鹿だな。
次疑ったらブッ殺すぞ。


「あのさ…」

なんだよ!!
まだ何かあんのか?!!

 

 

 


「名前、許してくれない?」

 

 

 

 

 

 

 

Ha…

そうきたか。
アンタも俺と恋人ごっこ楽しむ気になったみてェだな。
奇遇じゃねェか。


「いいぜ?1回1両で手を打ってやる」
「ぅわァ、太夫もメじゃないね」


太夫…か。
俺、男とヤるのなんか初めてだったんだけどな。
そんな男漁ってるイメージねェと思うんだけど…

「そんなモンと比べてくれんな…」
「ん…」
「俺はアンタにとって、陰間も寄せ付けねェような存在なんだろ?」
「あァ、そうだった…」
「アンタが忘れててどうする」

付き合ってやってる俺が滑稽じゃねェかよ。

何となく寂しくなって猿飛に手を差し伸べた。
気色悪ィとか、そういうのは考えねェ。
今俺はコイツのことが…

 

ふと猿飛の目が細められ、妙な空気になった。

俺の腕が肩に回るように、上体を近づける。
猿飛の体を抱きとめた俺は、先をせがむように引き寄せた。
中途半端にお預け食らった下半身が疼いて仕方ねェ。


「早く…」

 

 

 

今まで味わったことのねェ雰囲気。
これが愛し合う者同士が織り成すモンなのかもしれねェ。
ここまでできるようになったら、陰間の目も誤魔化せるだろうか。

「また、中に出してもイイ?」
「あァ…いくらでもブチ撒けろ」


「ん・・・・・」

 

 

緩く動き始めた猿飛の腰が、みるみるうちに俺を追い上げる。
もうイキたくてイキたくて、猿飛のチンポに全神経が集中してるみてェだった。
今自分がどんなツラ晒してるか、どんな声上げてるか、そんなこと気にかける理性も残らねェ。

「ァ…ん、んッ…さ、猿飛、ッ…猿飛ィ…」

ただ衝撃のまま声を張り上げる性欲の傀儡。
まだ20年も生きてねェ身体に、この衝動を抑え込む力なんかあるわけねェだろ。

この姿が女子みてェだろうが、変態だろうが、淫乱だろうが、もうどうでもいい。
何とでも言いやがれ。

 

もう従うしかねェ。

 

「猿飛…俺、も、ぅ…出…」

「うん、俺様も…早いかも」

 

 

俺の尻たぶに猿飛の内腿が勢いよくぶつかる。
そりゃもう尋常じゃねェ速さで。


俺のケツにチンポブッ込んで悦がってるなんてな。
忍なんて生き物も大したことねェじゃねェか。
コイツもただの男だってことか。

 

いや、野郎抱いて感じてんだからな。
かなりの下衆野郎ってとこか?

 

 

「猿飛ィ…っ」

「中、凄いよ…吸い付いてくる…」

でもその下衆野郎に掘られてこんなになってる俺なんて…


まったくこんな猫撫で声、どこから出てんだか。
お世辞にも高いとは言えねェ俺の声。
低く掠れて、威嚇するにはもってこいなんだけどな。
そんなこの俺の喉から、こんな女みてェな声…

「ぅア、は…ィ、ク…」

「いいょ…アンタの中、熱くて濡れてて、狭くて柔らかくて…最高…」


いつも飄々としてヘラヘラ笑うだけの猿飛が、追い詰められたように苦しそうだ。
気持ちイイんだろうか。
嫌な奴だと俺を忌み嫌うコイツが、俺と身体突き合わせて感じたりするのか。

 


俺の中が、そんなにいいのか?

 

 


そう思った途端、痺れて堪らなかった。

 

 

あるはずもねェ、腹の底の女の部分がひっきりなしに疼きだす。

 


「あ!!ァあッ!!!ィ、イク!イク…っ!ゃ、猿飛っ、さ…ッ…!!!!」

「も、中に出す、か、らね…っ」

 

 

 

猿飛が跳ね、肉癖を抉る。
火の起こるような摩擦に、恐ろしいほどの快感が腰の奥から引きずり出された。

耳を打つ激しく濡れた音にさえ感じて、中が熱くなる。

 

そして、喉元まで迫るような突き上げに、五感すべて持ってかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ…佐助ェ、っ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


絞り出した嬌声は、まるで泣き声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま…」


猿飛がほんの少し息を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「政宗…ッ」

 

 

 

 

 

 

?!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

了解を得たくせに、遠慮気味な小声。
呼吸も止まるような凄まじさ。

 


聞き慣れすぎた「マサムネ」という4文字に、直に神経鞭打たれたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ァ、が…ゥあ、ぁ、あ!アぁ                …ッ   !!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼い火花に灼かれる。

 

体がただの塊になったみてェ。
全身が強烈な快感に蹂躙され、何一つコントロールできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


押し込むような最後の突き上げに、精液が迸った。
後ろから力任せに押し出されたような。


それは、喉元が破れるほど仰け反った俺の前髪にまで飛び散った。

 

 

 

 

 

その喉元に吸い付く猿飛は、さながら龍の逆鱗を食いちぎる妖狐。
この龍を犯した上に急所を一撃とは、どうやら餌は油揚げじゃ済まねェようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下半身を弛緩すれば、噴き上がる精液は止まらねェ。


今まで経験してきた前だけの快感との差に、ついに俺の体が振り切れちまった。
意識は白み、音が遠くなる。
白目剥きかかった俺を猿飛が気遣おうとするが、俺の中は勝手に猿飛を扱き上げる。
アイツも全くついて来れてねェ様子で、情けねェ声上げながら俺ン中にダダ漏らしだ。

セックスを甘く見てた俺達にバチが当たったみてェだな。

 

 

 

 

 

 

お世辞にも抱き合ってるとは言えねェ。

倒れ込むように重なり合ったまま、俺と猿飛は死んだように動かなかった。